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2001年1月 第28回作品

ティーン・タウン/マンハッタン・ジャズ・クインテット

2000年12月20日発売 ビデオ・アーツ VACM-1169  税込み¥2,854

M・J・Q

1.Flash Point
2.Blues Intro / The Chicken
3.Teen Town
4.Road Song
5.I Wish
6.To M.O. Emm
7.Sparkle
8.Pastime Paradise
9.Rumblin'

デヴィッド・マシューズ(p)
ルー・ソロフ(tp)
アンディ・スニッツァー(ts)
チャーネット・モフェット(b)
ビクター・ルイス(ds)


「全てに完成度の高い大傑作!」

久々に脳天杭打ち級の素晴らしい作品です。
一聴した瞬間から全身の血が騒ぎ始め、それは
最後の曲まで冷めることはありませんでした。
サラに捧げるとはあるものの、これは曲の隅々
まで完全にダイアンのカラーが出ています。

オーケストラ・アレンジも決して古き良き時代を
懐古した風ではなく、あくまで曲と彼女の魅力を
今の時代に伝えようとしています。あらゆる音楽
を吸収した世代だからこそなし得る、多彩な表現
手法にはこれからのジャズの方向性さえ伺える気
がしました。中でも出色の出来は#4"Obsession"、
まさにドラマを観るような展開に胸躍ります。 評点: ★★★★★ (五つ星)

白岩輝茂
【apple Jam /Jazz PEOPLE】 / 【Blues PEOPLE】白岩輝茂さん)

 

「アレンジされたジャズの美学」

 私が4ビートジャズを聴くようになった最初の5枚ぐらいに、マンハッタン・
ジャズ・クインテットのファースト・アルバムがあります。その後も彼らの演奏
をずっと追いかけているということは、けっこう彼らの演奏の洗礼を受けている
ということなのでしょうか。やはり彼らならではのサウンドがそこにあります。
 1曲目からオリジナルで勝負しています。これがまたカッコ良い。スピード感
あふれる曲、印象的で分かりやすいテーマ、それに続くエキサイティングなソロ。
まずこれを聴け、といったところ。
 どの曲でもそうなのですが、ルー・ソロフのスタジオ・ミュージシャンとして
の、トランペットの職人芸が見事。また、タイトル曲を含む2、3曲目はジャコ・
パストリアスの曲で、アコースティック・ベースのチャーネット・モフェットの
重戦車級の演奏を聴くことができます。そして、いわゆるニュー・スタンダード
とも言うべき曲が並んでいますが、出てくる音はMJQとしての音。
 もともとデヴィッド・マシューズは第一級のアレンジャー。注意して聴くと、
随所に無理なくアレンジされた痕跡や、サウンドの方向性があります。彼自身の
不自由な右手を感じさせずに、ずっとピアニストとしてやってきて、しかも、好
セールスを獲得してきたことは、彼のアレンジした曲のカッコ良さ、シャープさ、
分かりやすさなどによるものが大きいと思います。オーケストラ作品も合わせる
とすでに30枚近くもアルバムを発表しているだけのことはあります。

評点 :★★★★☆(星四つ半)

工藤 一幸
ジャズCDの個人ページ工藤一幸さん)


「水戸黄門的楽隊変貌」

本作は第1?作。いつもと様子が違う。熱気と脂ッ気が漲る。シャープでスマート、
達者ながら腹八分目、いかにも日本制作らしい缶詰音楽風のプレイは何処へやら。
濃い口だ。オープナーから身を乗り出しづめ。Soloffが凄い。随所で切れまくる。
Snitzer効果の指摘もむべなるかな。Snitzerもポップでアーシーないいテナーだ。
アレンジ臭を感じさせず自然、痛快至極なネオ・ハードバップ。気分は満点。

評点 :★★★★☆(星四つ半)

林 建紀
JAZZ DISC SELECTION林 建紀さん)


「スニッツァーの健闘が光る」

 実はMJQのアルバムを一枚も聴いたことが無い。所謂聴かず嫌いという奴で、
なぜか敬遠してきた。つまらない教科書的なジャズをやるグループだと思って
いたが、本作を聴いて印象が変わった。まず(1)が良い。ジャズの黄金時代を
思い起こさせるアグレッシブなナンバーでインパクトは十分。ルー・ソロフの
テクが光る。(2)(3)はジャコゆかりの二曲で個人的にも思い入れが深いナンバー
だが、見事に処理している。特に(2)は楽しめた。ウェスやスティービーの曲が
出てくるなどアルバムコンセプトが良くわからない部分もあるが、小じんまりと
纏めるより余程いいだろう。またスムースジャズ系のアンディ・スニッツァーが
どのようなプレイをするのか興味があったが、グループにしっかりと溶け込んで
大健闘といえる内容だ。マイケル・ブレッカーのバラードプレイを髣髴とさせる
(6)などは新境地とも言えるのではないか。
 後半に少々飽きてしまったが、国内制作による企画物が嫌いな私でもなかなか
楽しめる一枚であった。マシューズの才能を再認識できる作品でもある。

評点 :★★★★(星四つ)

増間 伸一
Masuma's Homepage増間 伸一さん)


「痛快なドライブ感溢れる盤」

 80年代中期に鮮烈なデビューを果たして以来すでに15年、コンスタントに
作品を発表し続けている人気グループの新作です。大幅なメンバーチェンジ
にも関わらず、グループとしてのサウンドにはほとんど変化が感じられません。
相変わらずデヴィッド・マシューズのアレンジが大きく支配している証でしょう。
ルー・ソロフのトランペットを筆頭に、オーディオ的快感を得られる録音も従来
通りの素晴らしさです。あえて難を言わせてもらえば、アレンジがややマンネリ
気味で後半ちょっと聞き飽きる面がありました。次作では新しいメンバーでの
スタンダードにも期待したいところです。
評点:★★★☆(三つ星半)

STEP 片桐俊英


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  制作者:片桐俊英  メールはste p@awa.or.jpまでお願いします
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