本当はSTEPの推薦盤コーナーにするつもりだったが、
自分がしょっちゅう聴いているものを紹介することにしました。
ゲストの方とのセンスが合うかどうか?
あまりジャズを聴いたことのない人にも興味を持ってもらえたら幸いです。
CDの番号は原則として最新発売のものを表示しています。
(実際に私が持っているのは限定仕様盤(GOLD、紙ジャケットなど)とか古い規格番号のモノが多い。)

<このホームページのジャケット写真はレコード会社各社の許可を得られたものです。>

最終更新日:2000年2月18日

その2も是非ご覧ください

Jazzの超有名盤


  サキソフォン.コロッサス/ソニー.ロリンズ     (VICJ 2068)    \2039
   ジャズを聴き始めるきっかけとなった盤。
  20年以上前、学生寮の友人に聴かせてもらい"セント.トーマス"の
  あまりにも調子の良いフレーズに、スゴイ衝撃を受けた。
  それまでジャズを意識的に聴いたことがなかったが、この一発で見事にはまった。
  13年前、初めて買ったCD(¥3200だった)でもある。
  数年前に20bit化されたときも真っ先に入手した。
  演奏良し、録音良し、ジャケット良しと、三拍子そろった名盤中の名盤だと思う。
  天気の良い日のオープニングに、これ以上ぴったりくるものはない。

  さて今回(1998.5.21発売)待望のxrcd盤を早速入手して、
  三種類のCDの音を比較してみた。
  1985.6.21発売のVDJ−1501、1994.3.2発売のVICJ−5069(20bitK2紙ジャケ盤)
  そして最新のVICJ−60158の3枚である。
  正直言って最初にxrcd盤を聴いたときには、
  前の紙ジャケ盤との違いが予想以上に大きく、違和感を憶えた。
  しかしもう一度紙ジャケ盤の方をかけてみたら、xrcd盤の良さがはっきり分かった。
  まず情報の絶対量が違う。
  今まで気が付かなかった演奏の細かなニュアンスが、はっきりと伝わってくる。
  サックスのリードが振動して楽器が鳴っている。
  当たり前のことなのだが、従来はそんな風に感じなかった。
  そして低域の締まり、特にベースがぐっと良くなった。
  そしてドラムも、叩く場所で音がこんなに違うのかと思うほど。
  紙ジャケ盤を初めて聴いたときにも、低域が締まったという印象を持ったが
  今回はそれよりももっとはっきりした違い(向上)だ。
  自然にヴォリュームをどんどん上げたくなる。
  久しぶりに13年前の一番古い盤をかけてみると、案外良い音がする。
  押し出しが強い、しかしやはりベースが膨らんで聞こえる。
  ヴォリュームを上げていくとややうるさく感じる。
  結論、オーディオの好きな人はxrcd盤を必聴。
  そうでない人は、現在のレギュラー盤(音は紙ジャケ盤と同じ)で十分良い音なので
  持っていない他のアルバムを購入。
  以上きわめて当たり前の結論になってしまったが、
  それにしても大元の録音が素晴らしい事に改めて感激!
  (1998.6.3 追記)

  サムシン.エルス/キャノンボール.アダレイ     (TOCJ 1595)    \1835
   名義上キャノンボールの作品になっているが、レコード会社との契約上の問題からのことであり、
  実質的にマイルス.デイビスのリーダー作なことは有名だ。
  やはりマイルスの”枯葉”につきる。ミュートの利いたトランペットがしみる。
  2曲目の”ラヴ.フォー.セール”も好きな曲で、キャノンボールのサックスが実にいい感じを出している。
  録音もこれまた素晴らしく、オーディオチェック用にも使っている。

  クール.ストラッティン/ソニー.クラーク      (TOCJ 1588)    \1835
   サムシン.エルスとならぶブルーノートの2大名盤。特に日本での人気がすごいらしい。
  なんと言ってもこのアルバムはジャケットだ。タイトスカートから伸びた足にハイヒールの絵柄がイイ。
  最近出た「新JAZZものしり雑学事典」に、このモデルが誰かという記事があったので、
  すぐに購入して読んだ。ところが結論は、誰だかわからない。
  これって反則じゃないの?SwingJournalの別冊は商売がうますぎる。
  音楽そのものはアート.ファーマー、ジャッキー.マクリーンの音が、
  クラークの哀愁とマッチして、この盤の魅力となっている。

  ワルツ.フォー.デビー/ビル.エヴァンス.トリオ    (VICJ 23517)    \2345
   かの有名なヴィレッジ.ヴァンガードでのライブ演奏である。
  グラスのぶつかる音までもが素晴らしい音楽の一部になっている。
  決して熱心とは言い難い客の様子が全く不思議でならない。
  こんなすごい演奏なのに、ほとんど無関心な客の有様までもが再現される録音も信じられない。

  ケリー.ブルー/ウィントン.ケリー    (VICJ 2201)    \2035
   なんという音の輝き!現代のジャズ録音ではなぜかこの躍動感が感じられない。
  ベースのイントロに続いていきなりフルートのテーマが流れてくる、そのかっこよさ。
  ナット.アダレイのコルネットのつや、ベニー.ゴルソンの独特なテナーのハーモニー感覚、
  弾けるようなケリーのピアノ、チェンバースとコブの文句なしのリズム、これ以上は望むモノがない。
   二曲目の「朝日のようにさわやかに」のトリオ演奏は、数多くの名演があるこの曲のベストプレイだろう。

  ミーツ.ザ.リズムセクション/アート.ペッパー  (VICJ 2098)   \2039
   その当時のマイルス.バンドのリズム隊(=最高の)をバックに、
  ペッパーがとろけるような甘いサックスを聴かせる。
  ヘレン.メリルの歌唱で有名な"ユード.ビー.ソー.ナイス.トゥ.カム.ホーム.トゥ"の軽やかなこと。

  レフト.アローン/マル.ウォルドロン  (COCY 80339)   \2039   97/9/13
   なんといっても、タイトル曲のみ参加のジャッキー.マクリーンのアルトが泣かせる。
  マルの沈鬱なイントロとマクリーンのソロが「レフト.アローン」一曲で十分、
  と思わせるだけの魅力がある。
  1986年の東京でのライヴ.アルバム「レフト.アローン’86」も素晴らしい音だが、
  このオリジナル.ヴァージョンの重苦しいような悲しみの表現には及ばない。
  ビリー.ホリデイに捧げられたこのアルバムは、
  ベースとドラムは無名のプレイヤーだが、トリオでの演奏も危なげはない。
  落ち込んだときにこそ聴くべき名盤だろう。

  バラード/ジョン.コルトレーン  (MVCI 23006)   \2345   97/10/12
   もともといい音のアルバムだと思っていたが、20bitK2シリーズ盤では更に良く聞こえる。
  オーディオのセッティングやハードを変えたときには真っ先に掛けたくなる。
  ものの本によると、マウスピースが合わずスローな曲しか吹けなくてこの盤が誕生したらしい。
  それが本当とすれば、なんというジャズ史上に残るラッキーであろう。
  コルトレーンのサックスの素晴らしい音色を聴く限り、とてもそんな風には思えないが。

  


Jazzの有名盤



   ナウズ.ザ.タイム/チャーリー.パーカー     (POCJ 1809)   \2039
  モダン・ジャズの歴史を語る上で真っ先に出てくるのがパーカーである。
 ずいぶん昔聴かされたパーカーのレコードがあまりにも音が悪かったので、あまり聴かずにいた。
 ある時、ドラマーの渡辺文雄さん(あのナベサダの弟)との話の中で、
 「やっぱりパーカーを聴かなくちゃいけないでしょうか」という私の愚問に対して、
 「一般のリスナーは何を聴くのも自由だが、ミュージシャンなら聴かないのは問題外である」
 とのニュアンスの返答。
 あの栃木訛の口調で言われたので妙に説得力があり、翌日CDを聴いてみる。
 するとなんという甘い音、そしてフレーズ。音質も素晴らしいではないか。
 本や雑誌でパーカーの人間性についてはさんざんに書かれていたが、
 ミュージシャンは、当然ながらその音楽によって評価しなくてはと再認識する。

   シーン.チェンジス(THE AMAZING BUD POWELL Vol.5)/バド.パウエル
                                     (TOCJ 4009)   \2345   97/11/3
  ピアノのパーカーといった存在のパウエルの代表盤。
 精神状態によってなのか、出来不出来の波が大きいと言われるパウエルだが、
 このときは調子が良かったのだろう。
 それにしても12月29日の録音とは、日本では考えられない。
 ライブだと大晦日とか正月の録音もあるが、スタジオで年末の29日とは...
 ルースト(ルーレット)のマックス.ローチ、カーリー.ラッセルとのトリオ盤もたまに聴くが、
 あまりにも音が悪いので、どうしてもこの盤を聴くことが多い。
 超有名な「クレオパトラの夢」を始めとして、快調な演奏揃い。
 バックも名手チェンバースとアート.テイラーで安心できる。

   セロニアス.ヒムセルフ/セロニアス.モンク  (VICJ 2116)   \2039   97/11/13
  若い人にモンクを聴かせても、なかなかイイとは言ってもらえない。
 しかしSTEP開店当初からの常連K君は、高校生の時からモンクが大好きで、
 アニメのLDとモンクのCDしか買わないような超個性的な男である。
 そんな将来楽しみ?な青年が増えてくれると、世の中面白くなるのだが。
 さてさすがに愛聴盤と言っても、そうしょっちゅうは聴いていないが、
 このモンクならではの癖のあるフレーズは一度聴いたら忘れられない。
 ヒムセルフのタイトル通りソロ.アルバムだが、なぜか「モンクス.ムード」一曲だけは、
 ベースとコルトレーンのテナーが入っている。
 初めて聴いたとき、理論もテクニックもさっぱりわからないのに、
 他のピアニストとは違う奇妙な感覚を強烈に感じた。
 やはり常人とはひと味違う感性があるからこそ、多くの名曲を残してくれたのだろう。

   スターダスト/ライオネル.ハンプトン    (MVCR 20036)   \2039
  今なお現役のジャズ.ジャイアンツの長老、ハンプトンの代表作。
 1947年の録音とあって、イントロではマスターテープのワウ.フラがもろに感じられる。
 しかし演奏が進むうちに、そんなことは全く気にならなくなる。
 コンサートのライブ録音なので、各楽器のアドリブ.ソロが次々にあらわれる。
 それぞれが個性的なソロを聴かせて、ゆったりとした中にもユーモアを漂わせる。
 最後にハンプトンのヴァイブが強烈なソロを奏でる。
 だんだん精神が高揚していくのが、手に取るように伝わってくる。
  スウィングからビ.ヴァップへの移行期の演奏としても、その価値は高い。

   ジョージ.ウォーリントン.ライヴ.アット.カフェ.ボヘミア    (VICJ 2049)   \2039
  白人バップ.ピアニスト、ウォーリントンの有名なライヴ録音。
 今から見ればすごいメンバーだが、1955年当時には皆無名の若手だったのだ。
 バードとマクリーンのふたりのホーンを、チェンバースとテイラーのリズムがバックアップして、
 いかにも50年代中期のJAZZといった雰囲気だ。
 5曲目の 「ジェイ.マックス.クリブ」はいきなり「朝日のようにさわやかに」のテーマからスタートして、
 アレレと思わせる。
 ラストに大好きな「ボヘミア.アフター.ダーク」が演奏される。
 カフェ.ボヘミアのテーマソングのようなものだから当たり前ではあるが、
 何となく郷愁を誘うこの曲はよい。

   ミッドナイト.ブルー/ケニー.バレル        (TOCJ 4123)   \2345
  やっぱりギターはブルースが最高! ケニー.バレルの代表作。
 この盤はコンガのレイ.バレットとテナー.サックスのスタンリー.タレンタイン、
 二人の参加がより黒っぽさを出している。
 ほとんどの曲がバレルのオリジナルだが、とても良い。
 それに録音も現代のスッキリ風とは違って、濃密な音が聞こえる。
 ついヴォリュームを上げたくなってしまう、そんな魅力にあふれている。

   ベース.オン.トップ/ポール.チェンバース  (TOCJ 1569)   \1835   97/11/3
  いきなりベースのアルコ.ソロから始まる珍しい盤である。
 ベースがリーダーのアルバムだぞうと主張しているのだろう。
 個人的には、普通のジャズ演奏ではベースやドラムが目立つようでは行けない、と思っている。
 もちろんソロ.パートでは派手にぶちかまして欲しいが。
 この盤のようにホーンなしの場合には、ギターとの絡みが特に大事なポイントになるようだ。
 4曲目の「ディア.オールド.ストックホルム」は大好きな曲だが、
 ケニー.バレルとの絶妙な音色のバランスが素晴らしい。
 テクニック的なことはさっぱりわからないが、このころのレコードでチェンバースがベースだと
 それだけで安心して聴けそうな信頼感がある。
 5曲目の「ザ.テーマ」はNewMammyのライブでも良くエンディングに使われるなじみ深い曲。
 ここではハンク.ジョーンズの渋いピアノ.ソロが聴ける。
 全体に派手さはないが、引き締まった演奏の名盤といえる。

   マイ.フェア.レディ/シェリー.マン      (VICJ 2076)   \2039
  これもピアノトリオの有名盤。今やクラシックの大指揮者となったアンドレ.プレビン。
 そのプレビンの若き日のピアノがすばらしい。
 1956年の録音だが、すでにステレオ録音されていて音質も良い。
 この時代はミュージカルの全盛期であり、しかも西海岸のジャズがブームとあって、
 この作品は大ヒットを記録したという。
 今聴いても明るくはつらつとした演奏で、ウキウキと心が弾んでくる。

   キング.サイズ/アンドレ.プレビン      (VICJ 2193)   \2039  1998/4/17
  またまた出ましたプレビン先生のピアノトリオ。
 実はつい最近までドラムはこれもシェリー.マンとばかり思っていた。
 上記の「マイ.フェア.レディ」と同様に切れの良いブラシが聴ける。
 あまり有名でないフランキー.キャップというドラマーについて、人名辞典で調べてみた。
 スイングジャーナル1988年5月臨時増刊の「新・世界ジャズ人名辞典」は貴重な存在。
 ただ発行から10年立ったので、そろそろ最新版を出して欲しい。
 (特に日本人ジャズメンはここ10年で有力新人が大勢現れたので)
 で、フランキー.キャップだが、51年シェリー.マンに代わってスタン.ケントン楽団に参加、
 53〜54年にはペギー.リーの歌伴も務め、その後LAでスタジオ.ワークを中心に活動とある。
 ベースのレッド.ミッチェルはおなじみなので省略。
 1曲目の「四月の思い出」、3曲目の「ユード・ビー・ソー・〜」と有名ナンバーが実に気分良く
 演奏され、スイングとブルース感覚が堪能できる。
 それにこの盤の録音の良さは特筆もの。
 決して周波数レンジが広いとは思えないが、低域から中域にかけてが分厚いサウンド。
 近頃のスッキリとした音場感とは無縁の、ガッツある録音だ。

   サムデイ.マイ.プリンス.ウィル.カム(いつか王子様が)/マイルスデイビス (SRCS 9105)  \1835
  さてマイルスである。山ほどあるマイルスの名盤の中で、私はこれを一番聴いている。
 歴代のマイルスのバンドでも最高のメンバーと思える(異論はあろうが)、
 ウイントン.ケリーのピアノにポール.チェンバースのベース、そして二曲にコルトレーンが参加。
 こうくれば、もう文句なしだ。
  ジャズ演奏の歴史から見れば、モード奏法の確立という画期的なアルバムであるらしい。
 しかし音楽理論のわからない私にとっては、そんなこと抜きで単純に良い音楽として聴くだけである。

   キャノンボール.アダレイ.クインテット.イン.シカゴ
          (PHCE 4018)    \1835

  これまたマイルス抜きのマイルス.バンド。上の”いつか王子様が”のメンバーである。
 それで悪いわけがない!
 マイルスがいないことによって、リラックスした雰囲気でのレコーディングになっている。
 キャノンボールとコルトレーン、ふたりのサックスがそれぞれの個性を発揮している。
 24ビット・リマスターの限定版で聴いているせいか、音質も素晴らしい。
  やはりジャズは、’50年代後半から’60年代初頭が最高の時代だと確信させる一枚であろう。

   ゴー/デクスター.ゴードン               (TOCJ 4112)  ¥2345
  小細工なしに朗々と吹きまくるデクスター.ゴードンのテナーを聴くと、本当にスカッとした気分になる。
 当時の多くのジャズメンと同様、麻薬にどっぷり浸かっていた過去など信じられない。
 翌年のバド.パウエルとの共演で有名な”アワ.マン.イン.パリ”も、名盤としての評価が高いが、
 私はこの”ゴー”を聴くことの方が多い。
 最後の”スリー.オクロック.イン.ザ.モーニング”の調子の良いフレーズでしめくくられると、
 また初めから聴きたくなってしまう。

   ブルース.ウォーク/ルー.ドナルドソン        (TOCJ 1593)   \1835
  またまたブルー.ノートの人気盤で、堅苦しさなどみじんもないなごみのジャズである。
 ジャズは難しいとかとっつきにくい、と思っている人がいたらこの盤を聴いてみるといい。
 楽しければそれで良しといったハッピーでややブルージーな演奏の前に理屈はいらない。
 レイ.バレットのコンガがよりそんな感じを強めている。

   ソウル.ステーション/ハンク.モブレー    (TOCJ 4031)   \2345
  これまたブルー.ノートの軽快な人気盤である。
 モブレーのテナーがワン.ホーン故の気楽そうなソロを吹きまくる。
 ウィントン.ケリーのピアノ.ソロも、バックに回ったときも実にカッコイイ。
 そしてチェンバースのベースに御大ブレイキーのドラムスとくれば、文句の付けようがない。
 有名なスタンダードでなく、モブレーのオリジナルが4曲も演奏されている。(全6曲)
 どの曲も堅苦しさとは無縁の親しみやすいメロディーで、
 モブレーのウォームなトーンが心地よく耳に響く。
 疲れたときなどに、リラックスして聴きたいアルバムである

   フィーリン.ザ.スピリット/グラント.グリーン    (TOCJ 4132   \2345
  ブルー.ノートに沢山の作品を残している割には、今ひとつメジャーでないギタリスト。
 そんなに何枚も聴いていないが、「アイドル.モーメンツ」とこのアルバムは結構気に入っている。
 "ミッドナイト.ブルー"と同様に、パーカッションが入ったブルース.アルバムで、いかにも黒っぽい。
 ニグロ.スピリチュアルをテーマにしたアルバム企画とあるので、黒っぽいのは当然か。
 ジャケットからして、でかい鼻の穴に吸い込まれそうな下からの陶酔した表情。
 厚い唇とともに、いかにも黒人といった雰囲気を醸している。
 またバックのピアノが、ハービー.ハンコックというのも意外な感じを受ける。
 ハンコックのリーダー作とはかなりイメージが異なる。(かなり音楽性は幅広いが)
 真夏の間はあまり聴く気が起きなかったが、涼しくなってくると時々聴いてみたくなる。

   スピーク.ロウ/ウォルター.ビショップ.Jr.トリオ    (TKCB 71170)   \2000
  ずいぶん昔、無人島に持っていく一枚のレコードとして、この盤が紹介されていた。
 ピアノ.トリオ.アルバムの代表的な名盤だが、永く”幻の名盤”として珍重されていた。
 CDの時代になってからも、何度か発売されては廃盤を繰り返している。
 JAZZTIMEというマイナーレーベル故と思われるが、
 一定の評価を得ている盤は常時入手できるようにしてほしいものだ。
 この盤の魅力はなんといっても選曲にあると思う。
 センスの良いスタンダードが並び、自然な流れで最後まで演奏が運ばれる。
 最近限定で出た紙ジャケット盤(20bitリマスタリング)では、
 ジミー.ギャリソンのベースが力強さを増したように聞こえ、いっそうの魅力を放っている。

   イーズ.イット/ロッキー.ボイド    (TKCB 71172)   \2000
  ここ一ヶ月ほど一番よく聴いているのがこのアルバム。
 "スピーク.ロウ"と同じ日の吹き込みといわれている。
 このアルバムと"スピーク.ロウ"、それにデイヴ.ベイリー.クインテットの"リーチング.アウト"、
 このたった3枚のレコードを出して倒産した、JAZZ TIMEは幻のレーベルだった。
 それにロッキー.ボイドというテナー奏者の、唯一のリーダー作でもある。
 なんともダサいジャケットが、逆に妙に気になっていたのだが、
 常連Hさんの推奨で聴いてみた。
 2曲目の"星影のステラ"がすごくいい。
 デクスター.ゴードンを優しくしたようなフレーズがしみる。
 もちろんウォルター.ビショップJr.のバッキングも素晴らしい。
 それにトランペットのケニー.ドーハムのソロもさすがと思わせる。
 もっと有名になっていい作品だと思うので、
 限定盤などといわずレギュラー版での発売を望む。

   カム.フライ.ウィズ.ミー/ピム.ヤコブス.トリオ  (PHCE 3081)   \2039
  KLMの飛行機をバックにしたジャズらしからぬジャケット。
 オランダ人ピアニスト、ピム.ヤコブスは歌手リタ.ライスとのコンビで有名だが、
 歌伴でないアルバムは日本ではこの一枚だけだ。
 数年前、千倉のペンション"バードランド"中野渡さんに、音のイイ盤として教わった。
 1982年の録音としては、たしかに音がイイ。しかしそれ以上に演奏がイイ。
 「枯葉」を聴くと、ウィントン.ケリーの名演とつい比較してしまいたくなるが、
 まさに白いウィントン.ケリーといった感じだ。
 これを書くためにライナーノーツを読むと(ふだんはほとんど読まないので)、
 瀧口秀之氏の解説も同様のことを言っている。
 全体に明るいトーンで、たまにはこのようなピアノ.トリオもイイものだ。

   エリック.ドルフィー.アット.ザ.ファイブ.スポットVOL.1  (VICJ 60011)   \1995   97/10/11
  ドルフィーとかセロニアス.モンクなどを好きになってくると、
 JAZZファンとしても初級を脱したと言ってもいいだろう。
 きれいなピアノ.トリオなどは若い女性にも勧めやすいが、
 いくら自分が好きでもこのアルバムあたりになると、ちょっと躊躇する。
 しかしドルフィー独特の、ひねくれたようなフレーズと音の虜になってしまうと、
 もうこれなしでは済まなくなってしまう。
 やはり若くして死んだブッカー.リトルとのハーモニーもすごい。

   グルーヴィー/レッド.ガーランド  (VICJ 2096)   \2039   97/10/18
  これまたピアノ.トリオの定番作品。
 なんと言ってもまずジャケットのかっこよさ。いかにもJazzを感じさせる。
 煉瓦の壁を見るとJazzかワインが頭に浮かぶが、この盤のせいか?
 演奏ももちろん良い。私の好きな曲「柳よ泣いておくれ」もいい。
 でもやっぱり一番いいのは1曲目の「C ジャム.ブルース」。
 チェンバースのベースもズンズン響いて、一度聴いたら忘れられない。

   ザ.キャット/ジミー.スミス  (POCJ 2462)   \1835   97/11/19
  オルガン.ジャズの王者ジミー.スミスの代表盤。
 "ザ.キャット"といえばボウリングである。
 この意味の分かる人はあまりいないと思う。
 30年近く前、ラジオ関東(現ラジオ日本)でロイ.ジェームスが司会の
 ボウリング番組!をやっていた。(ラジオだよ!)
 たしか金曜日か土曜日の夜10時半からの30分番組だったと思うが、
 その番組のテーマがこの"ザ.キャット"だったのだ。
 もちろんその当時はジャズのジャの字も知らなかったが、
 この曲のかっこよさにしびれた。
 まだボウリング場も行ったことがないときで、
 なぜかこの曲に猛烈に都会を感じた。
 今にして思えば、ラロ.シフリンの映画音楽用の曲作りのためか?
 しかし楽譜の読めないジミー.スミスが、なんでこんな演奏が出来るのだろう。

   フライト.トゥ.デンマーク/デューク.ジョーダン  (VACE 3013)   \1835   97/11/4
  70年代ピアノトリオの代表的名盤。
 5年前に再発されるまで、数年間廃盤になっていた。
 無いとなると余計に聴きたくなるのが人情というもので、
 オーディオ.フェアで上京したおりに輸入盤を購入した。
 (国内盤がなかったせいか安くなかった。)
 お約束の「危険な関係のブルース」(NO PROBLEM)が、やはりイイ。
 それに録音もかなり良い。ベースもドラムもしっかり録られている。
 コペンハーゲンでの録音だから当然かも知れないが、
 ジャケットの通り冬の北欧を思わせるクールな印象が残る。

   ブッカー.リトル  (TECW 206311)   \2000     97/12/26
  23歳の若さでこの世を去ったトランペッター、ブッカー・リトルの名盤。
 4枚のリーダー.アルバムの中で唯一のワン.ホーン作品だ。
 哀愁を含んだ美しいトーンで吹きまくるソロが素晴らしい。
 それにバックがまた素晴らしく、ピアノがトミー.フラナガン(2曲はウィントン.ケリー)、
 ベースがスコット.ラファロ、ドラムがロイ.ヘインズと豪華メンバー。
 エリック.ドルフィーとの「アット.ザ.ファイブスポット」とは違って、
 ワン.ホーンならではの朗々としたメロディアスなプレイがまた良い。
 それにしても23歳とは、あまりにも若すぎた死だ。

   アス・スリー/ホレス・パーラン    (TOCJ 4037)   \2345   98/4/4
  最新作「ウィー・スリー」を聴いて改めてこの盤を聴き直した。
 やはり40年近い時が流れていることを感じた。
 さすがに録音はちょっと古さを感じさせるが、演奏は若さゆえのノリノリだ。
 強烈なベースからスタートするタイトル曲はやっぱりイイ。
 ライナーを読むとこの曲は、パーランとベースのジョージ・タッカーとの共同アレンジとある。
 ベースがすごいのも当たり前のようだ。
 ジャケットも数字をアレンジしただけなのに、なかなかカッコイイ。
 どうもブルーノート盤は、写真より文字のデザインの方にセンスの良いモノが多いように感じられる。
  ところでホレス・パーランは小児マヒのため右手が不自由だというが、
 そのために独自のスタイルが出来たとすれば不幸中の幸いとでも言うべきか。

   ブルー・アワー/スタンリー・タレンタイン・ウィズ・ザ・スリー・サウンズ  (TOCJ 4057)   \2345   98/4/23
  このアルバムはとっくに紹介済みと思いこんでいた。
 「ばあどらんど」の阿部さんの日記を読んでいて、どんなことを書いたっけとチェックしてみると、
 どこにもまだ書いてないことに気づいた。
 名盤紹介コーナーにはほとんど登場しないのが不思議?だが、
 多くの人にはブルージー過ぎるのかも知れない。
 「イントロデューシング・ザ・スリー・サウンズ」もたまに聴くが、
 タレンタインとスリー・サウンズの組み合わせの方が実に黒っぽい。
 特に最後の「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」が良い。
 そういえば昔は良くういろうをもらって食べたものだが、ここ20年くらい食べてない。
 抹茶味がうまかったような記憶があるが、今でも名古屋に行けばあるのか?
   



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制作者:片桐俊英  メールはstep@awa.or.jpまでお願いします

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