GD看板



1998年8月 第2回作品

combustication/medeski,martin&wood
(combustication/メデスキ、マーチン&ウッド)

1998/8/7発売  東芝EMI (BLUE NOTE) TOCJ 6229 税込み¥2,548

1.Sugar Craft
2.Just Like I Pictured It 
3.Start・Stop
4.Nocturne 
5.Hey−Hee−HiーHo
6.Whatever Happened to Gus
7.Latin Shuffle 
8.Everyday People 
9.Coconut Boogaloo
10.Church of Logic 
11.No Ke Ano Ahiahi
12.Hypnotized


   
「迷いのないブルー・ノート・レーベルと苦悩のスウィング・ジャーナル誌」

 オススメ盤、ただし限定つき。ジャズにこだわらずにカッコイイ音楽が好きな方、
60年代のちょっとあやしいオルガンジャズやソウルジャズが好きだった方、
メデスキー・マーチン&ウッドが好きな方。はじめて聴いて、どう評価していいか困ったのも事実。
でも、あるCDショップで、このCDがBGMでかかっていたのを聴いて非常にカッコよく 感じたのも事実。
本国アメリカでは、かなり売れているそうです。

 ここでの演奏は、昔ブルーノートレーベルが60年代に録音していたオルガンジャズや、
一時期だけ流行ったソウル・ジャズ、それらを現代に凝縮したようなサウンドです。
いわゆるジャズの枠組みからは外れていると思います。
ブルーノートレーベルは、おそらく今までのジャズファンではなくて
外からジャズファンを取り込もうとしているのでしょう。
私としては、流して聴くアルバムであって、一つ一つの曲は全然印象に残っていません。
「スウィング・ジャーナル」誌の読者の大半は、ただただこの選定に怒りをあらわにするしかないのかも。
 このアルバムが気に入った方は「ジョン・スコフィールド/ア・ゴー・ゴー」(Verve)がまるまる
このトリオ+ジョン・スコの演奏なので、オススメ。ハマります。

(評点★★★★星4つ)
工藤一幸
ジャズCDの個人ページ工藤さん)


「これの何が新しいの?どこがHIPなの?」

 どの雑誌を見ても肯定的に書いてある。
しかもSJ誌では選定ゴールド・ディスクときた。
始めにお断りをすると私は彼らが90年に登場してからのことは良く知りません。
でもこれだけは言えます。彼らは「先端」を自認してる人々が多い街、
ニューヨークを一歩出たら、ただのあんちゃんです。
同様の手口の音なら、私はブランフォードとDJプレミアのユニット、
バックショット・ルフォンクの方がはるかに好きだし、ヒップだと思う。

Dはイレクトリック・マイルスをオルガンにしただけ、
Eはジャック・ケルアックが生きてたら怒るぞ。
とにかくB以下は頭でひねくった結果の出来損ないです。
でもいいのもある。
@の躍動感はかなりプリミティヴなもので、きっと
本来の彼らの持ち味なのでしょう。
Aもごてごて曲をいじらずにシンプルに仕上げたのが正解。
特に生ピアノの部分、秀逸です。
想像ですが、デビュー後、知識人達のヨイショにあって、
今は背伸びをしてるんではないでしょうか。

ということで評点は★★★☆(星3つ半)です。
自分で買うのはよして、
図書館員に必須アイテムだと囁きましょう。

白岩輝茂
JazzPEOPLE白岩さん)


「ジャズのパロディーのパノラマだ」

 連載2回目にして早くも難物が登場する。
戦々恐々としていた委員もあったが、筆者はいつも通りジャズ魂の発露を
評価の尺度にすればよいと鷹揚に構えていた。
意気揚々一聴に及んだが、良くも悪しくも期待が外れた。
悪い方は、前評判からもっと鮮烈なサウンドを期待していたところ月並みであったこと。
年増が若作りしたようで興醒めだ。チープなサウンドは狙いだろうが平板なのはいただけない。
良い方は、かろうじてジャズの類であったこと。
ビ・バップ風から、ファンキー、ソウル・ジャズ、フリー、新主流派、ジャズ・ロック、ワールド・ミュージック、
フュージョン風までMMW流にデフォルメしたジャズのパロディーのパノラマだ。
それぞれに際立った主張はないから散漫な印象は受けないし、聴き流して愉しい。
但し、本作を画期的な名盤と喧伝しては困る。
ましてGDに選定するとは愚行という他ない。
21世紀も斯界のオピニオン・リーダーたらんとするSJの焦りか。

評点:★★★(星3つ)
林 建紀
JAZZ DISC SELECTION林 建紀さん


「演奏はともかく、SJ誌の姿勢に憤慨」

オルガンジャズがあまり好きではない。ジミー・スミスでさえも、殆ど聴かないくらいだ。
というわけで本作も何度か繰り返し聴いてみたが心に迫る物はなかった。
まあメンバー自身も「ジャズという言葉が好きではない。ジャズ・バンドとは思っていない。」と
発言しているくらいなので、内容がつまらないからといって目くじら立てる必要もないのだが。
所々で70年代フュージョンの香りがしたりして、耳を奪われる瞬間が無いわけではない。
ダラダラと聴き流すには悪くないとは思う。ただどの曲がどうこうと解説する価値は無い。
一番怒っているのはこれをGDに選定したSJ誌の姿勢。
毎月のGDが内容本位の選定でないことは、今や誰の目(耳)にも明らかだが絶対納得出来ない。
本来なら「AROUND THE JAZZ」コーナーでひっそりと紹介すべき類の作品だろう。
この作品が数十年後もJAZZファンに聴き継がれるかどうか冷静に考えてみろ、と言いたい。
今月号SJを読んだジャズ初心者の方はこれを最初に買ってしまうかもしれない。
それを考えると非常に心が痛む。
私は多分二度と聴かないだろうし、中古屋に売ってしまうかもしれない。
どうせ買うならもう一枚のGD(E・ヘンダーソン)を買いましょう。
というわけで最後にひとこと。
本作以上の感動(しなかったけど)や楽しみを持ったCDは他に(ジャズにも他ジャンルにも)
掃いて捨てるほどある。本作の後でジミー・スミスを取り出して聴いてみたが
本当に素晴らしいと感じたことを付け加えておこう。
具体的評価については他のメンバーの方の文章を参考に。

評点=★★☆(星2つ半)
増間 伸一
Masuma's Homepage増間 伸一さん)


      
「なんでこれがゴールドディスクなんじゃー!」

 すでにこの盤を20回くらいは聴いた。
もちろん気に入ったからではない。この原稿を書かなければいけないからだ。
天下のブルーノートなんだから、自分のセンスがおかしいのかも知れないと
(たしかにおかしいところもあるが−自分で認めるな)しつこく聴き返した。
オルガンもファンキーもソウルもそれぞれ結構好きなのだが、これは一体なに?
私も一応CDを売る立場にあるので、できれば褒めて売りたい下心はある。
と言うより、そのためにHPを作っているといっても過言ではない。
しかしこれをどうやって人に勧めたらいいのか全然わからん。
そこで”褒め殺し”ならぬ”貶し生かし”?に作戦を変える。
オルガンが聴きたければ酒井潮やKANKAWAの方が遙かに素晴らしい。
プロコル・ハルムやクニ河内だってある。
若者ぶりたければクールなHIP−HOPが他にある。
どうだ!これだけ貶せば聴きたくなる人もでてくるだろう。

評点=★☆(星1つ半)  STEP 片桐俊英


ゴールド・ディスク入り口へ戻る


  制作者:片桐俊英  メールはste p@awa.or.jpまでお願いします
表紙に戻る自己紹介NEWSGD委員会新名盤/愛聴盤限定盤JAZZ LP日記スキー温泉リンク