2002年2月 第39回作品
キス・オブ・ファイヤー/ハロルド・メイバーン・トリオ
2002年2月27日発売 徳間ジャパン(VENUS) TKCV 35301 税込み¥2,800
1.How Insensitive(A.C.Jobim)
2.It’s A Lonesome Old Town(Tobias、Kisco)
3.Nancy<With The Laughing Face>(J.Van.Heusen)
4.Bag’s Groove(M.Jackson)
5.Blue Bossa(K.Dorham)
6.Black Orpheus(L.Bonfa)
7.Cheese Cake(D.Gordon)
8.Recado Bossa Nova(D.Ferreira)
9.Kiss Of Fire(A.Villoldo、L.Allen)
10.Brazil(A.Barroso)
Harold Mabern (p)
Nat Reeves (b)
Joe Farnsworth (ds)
SpecialGuest
Eric Alexander (ts)
SJ誌ゴールド・ディスクを斬る 〜 最終回の弁
1998年7月に有志5人で始まった、このGD委員会、遂に今回で最終回を迎えました。
決してこのメンバーでの活動を休止するわけではなく、4月より一部メンバーが入れ 替
わり新しいことを始めますが、この「GDを斬る」を全員一致で終了する理由はただひ と
つ、この会の本来の目的であった、もっと多くの方に素晴らしいジャズの新録ものに
注目して欲しいという動機に立ち返るというものです。つまり対象をSJ誌のGDに絞っ て
いてはもっと素晴らしい他の作品を紹介出来ないというジレンマから脱することが出 来
なかったのです。
今後は各人が自己のお薦めを持ち寄った共同ページを各人のページに置くことで
5人、5色のお薦め盤をご紹介していくことになります。その中にSJ誌のGDが顔を
出すこともあるでしょうし、あるいは意外な角度からのお薦めが登場することもある
と思いますので、引き続きこのメンバーでの活動にご注目下さいね。
四代目委員長 白岩輝茂
「確かにファイアーな一枚」
「ゴールドディスクを斬る」をはじめた'98年8月から、最終回の今月まで
に取り上げたヴィーナスのCDは8枚。取り上げなかったものも含めると、この
3年半でヴィーナスのゴールドディスクは何と14枚もあります。ここまで多い
とさすがに食傷気味かも。
今回もやっぱり熱い演奏。キーワードは4曲(1、3、7、10曲目)に参加
しているエリック・アレキサンダーかなと思います。勝負は第一印象の1曲目。
ここではインパクトのある直球勝負で好感が持てます。不思議な事にバラードの
3曲目がジーンときてしまいました。どうせなら全曲彼が参加してもいいのでは
ないかとも思えますが、そうすると彼のリーダー作になってしまいます。
有名な曲が並んでいて、アレンジも凝っているなと思わせる部分はありますが、
好みはメロディアスなサックス全開の7曲目から、元気印ボッサの8曲目、これ
でもかと進んでいくタンゴの9曲目、そしてノリノリサンバの10曲目にかけて。
4−6曲目も有名な曲が並んでいますが、ちょっとアレンジが自分の好みと違う
気もします。ただ、アルバム全体から沸き出てくるエネルギーは、タダモノでは
ないな、と思います。通して聴くのには体力を要するかも。
ハロルド・メイバーンのピアノは、時々ゴンゴンきていてもメロディアスで、
しかもさまざまなカラーがあって古さを感じさせません。曲のノスタルジーゆえ
か、新しさを感じるところまではいきませんが、時々取り出して聴くアルバムに
はなりそう。
評点:★★★★(四つ星)
工藤 一幸
(
ジャズCDの個人ページ
工藤一幸さん)
「トリオだけで聴きたかった!」
GD委員会をやってきて足かけ4年、若干食傷気味だった出来レースぽい
「GD」に久しぶりに活を入れた本当の!GDに出くわしました。このアルバ
ムを何回か通して聴いてみてやはり一番感じたのは今回はゲストは不要
だったという気持ちです。これは意見が大きく分かれるかも知れませんが
メイバーンの最大の魅力が全開になっているのはトリオものの曲に集中
しています。特に#6や#8にその傾向は顕著で、豪快かつ流麗なエリアレ
との共演より、原曲をマイペースに描きあげる彼の流儀にはリズム隊だ
け居れば良かった気がします。
特にこの作品ではいつになく破壊的なパワーで迫るメイバーンの迫力に
流れるようなライン取りを好むエリアレのバックに回ると、突然サイドマンの
顔になってしまいやや惜しい気がしました。この作品が全編トリオものだっ
たら星が六個になったと思います。(笑)
評点:★★★★★(五つ星)
白岩輝茂
(
【apple Jam /Jazz PEOPLE】 / 【Blues PEOPLE】
白岩輝茂さん)
「骨のある純正ジャズアルバム」
その長いキャリアの割にはリーダー作があまり多くないメイバーンであるが、
大ベテランの域に達した現在も好調を維持しているようである。本作品は力強く
弾きまくるメイバーンのピアノを存分に堪能することができる。ベストは1だ。
ゲストであるエリアレのテナーを従えたカルテットのナンバーだがこの圧倒的な
ドライブ感に今のメイバーンの勢いが凝縮されている感じ。エリアレが加わった
ナンバーでは7も良。デックスになりきっているエリアレが何とも微笑ましい。
トリオでは原曲の魅力を生かしつつスピーディーに駆け抜ける8が圧巻である。
ジャズメンオリジナルがメインだが一丁上がり的な安易さは感じない。殆どの
曲をアップテンポで仕上げたのが良い結果を生んだようだ。ヴィーナスのGDに
してはおすすめできる内容である。
評点:★★★★(四つ星)
増間 伸一
(
Masuma's WebSite
増間 伸一さん)
「勢いがあれば立派とは限らない」
本作はVenus第2作。Nat Reeves(b)、Joe Farnsworth(ds)とのトリオ作品。4曲に
Eric Alexander(ts)が参加。概ねラテン系のスタンダード7曲にジャズメン作3曲。
Eric参加曲が上々、レギュラーの強味だ。Mabernの出来も格段にいい。トリオで
星を下げた。勢いに惑わされず聴けば、閃きに乏しく展開が不充分なのがわかる。
Mabernの器ではなく、トリオ急造と難ありがまじる選曲−企画のせいだろう。
評点:★★★☆(三つ星半)
林 建紀
(
JAZZ DISC SELECTION
林 建紀さん)
「メイバーンの名盤?」
またまたVENUSのピアノ・トリオ盤がGD。たしかに贔屓のレーベル
ですが、ここまで続くとさすがに食傷気味なのも否定できません。
聞き出すと本作は従来のVENUS録音よりも若干硬質な感じがします。
アレキサンダーのサックスにはピッタリの音質ですが、トリオ演奏だと
メイバーンの右手がちょっとキンキンするきらいがあります。
有名曲の連続ですが、オリジナリティーはあるもののさすがに定番の
演奏に比べてしまうと、今ひとつの感は拭えませんでした。
やはり名盤の域に達するには乗り越えるべきものがあるようです。
選曲も含め総じてアレキサンダーの加わった演奏に魅力を感じました。
評点:★★★☆(三つ星半)
STEP 片桐俊英
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制作者:片桐俊英 メールは
ste p@awa.or.jp
までお願いします
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