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2001年5月 第31回作品

カム・ドリーム・ウィズ・ミー/ジェーン・モンハイト

2001年5月9日発売  ビクター・エンターテインメント VICJ 60744  税込み¥2,520

J・モンハイト

1.Over The Rainbow
2.Hit The Road to Dreamland
3.Spring Can Really Hang You Up The Most
4.Waters of March
5.I'm Through with Love
6.I'll be Seeing You
7.Something to Live For
8.So Many Stars
9.If
10.Blame It On My Youth
11.A Case of You
12.Nobody Else But Me (日本盤のみのボーナス・トラック)

ジェーン・モンハイト (vo)
トム・ハレル (tp)
マイケル・ブレッカー(ts)
ケニー・バロン(p)
クリスチャン・マクブライド、リチャード・ボナ(b)
グレッグ・ハッチンソン (ds)


「今回も、第一章的作品」

豪華なサポート陣、実力的にも申し分なし、選曲も大スタンダードからブ
レッド、ジョニ・ミッチェルのカバーまでと幅広くバラエティに富んだジャズ・
ヴォーカル・アルバムなのですが、いまひとつすんなりと心に響いてこな
いもどかしさが残りました。

例えばカサンドラ・ウイルソンなんかは、もう確実に自分の体内にあるもの
を残らず歌に投影している手応えがあるのですが、モンハイトの場合は
とりあえずのステップとして作りました、という感じが透けて見えるような
気がしてしまうのです。多分彼女自身の発言にもあるように、モンハイト
の目はもっと先を見ているのかも知れません。

とはいえ、#6 "I'll be Seeing You"には表現力においてドキッとさせられる
ような一面もあって、ヴォーカル界の中でこれから重要な存在になるだろう
ことは容易に想像が付きます。

モンハイト自身が本当に作りたくて作った!というアルバムの登場まで、
つなぎ的な作品だと感じました。今後への期待は大です。

評点: ★★★★ (四つ星)

白岩輝茂
【apple Jam /Jazz PEOPLE】 / 【Blues PEOPLE】白岩輝茂さん)


「落ち着いて聴けるヴォーカルアルバム」

 若いゆえに素直だけれど何となくしっとり感のあるヴォーカルアルバムかな、
というのが第一印象でした。メンバーもスゴいのですが、派手な見せ場をあまり
作らずにじっくりと共演しています。
 メロディアスな曲がけっこう並んでいて、これだけでもけっこう得点は高そう。
1曲目はヴォーカルだけではじまって、徐々に他の楽器が加わり寄り添うような
伴奏。じっくりと聴きたいバラードの3、10曲目。ピアノの演奏が良い感じで
マッチする5曲目、ドラムスのマレット使いが妙にエキゾチックな6、8曲目、
メロディが心に迫ってくる7曲目。これに対しスキャットが入って比較的ジャズ
っぽい2曲目、ジョビン作のゴキゲン度が高い4曲目あたりがアルバムに彩りを
添えています。フレットレス・ベースがバックで印象的な9、11曲目は個人的
には好み。曲の印象をとりとめもなく並べてしまいましたが、通しでBGM的に
聴いて、ついまたもう1回というパターンでした。メロディ重視のスタンダード
にあまりとらわれない幅広い選曲のためでしょうか。反面、心を揺さぶるところ
まではいかなかったような気もしています。
 ひとつ気になったのは、ボーナストラックの12曲目は元気がありすぎ、この
曲だけホントに普通のジャズになってしまっていること。マイケル・ブレッカー
のソロもあってけっこう良い感じなのですが、全体としてのアルバムのバランス
を崩してしまいました。結論、ジャズとヴォーカルは、求めるものが違うことも
あります。
 マイケル・ブレッカーは6、8、12曲目に参加。

評点: ★★★★ (四つ星)

工藤 一幸
ジャズCDの個人ページ工藤一幸さん)


「女子校の優等生的好唱集」

本作はN-Coded第2作。選曲の大半はスタンダード、ボッサやポップスを混じえる。
伴奏はKenny Barron(p)率いるトリオが中心、半数にTom Harrell(tp)等が加わる。
清楚で可憐、初々しく瑞々しい。丁寧で素直な歌唱で、難曲も巧くこなしている。
ただ、それだけで人の心を打つことはできない。好ましさを越えた何かが欲しい。
選曲もポイント。コンテンポラリーな曲が似合うようだ。発展途上の好唱集。

評点:★★★☆(三つ星半)

林 建紀
JAZZ DISC SELECTION林 建紀さん)


「リラックスタイムのBGM用」

   ジェーン・モンハイト、これまで見た事も聞いた事もない名前。超一流どころ
がバックを固めているのを見ると相当期待されている人なのだろう。そう思って
聞いてみたが、その内容は取り立てて凄いものとは感じない。ジャズボーカルに
疎いのでよくわからず申し訳ないのだが、傑出したものはないと思う。ただこの
ちょっぴり気だるい雰囲気はリラックスタイムのBGMなどにはぴったりだと思うし、
ダイアン・リーブスのように圧倒的に迫ってくるわけではないので気軽に聴ける
だろう。個人的には正統的なジャズナンバーよりも4のような、キャッチーで軽い
曲が気に入った。このようなタイプの曲のほうが彼女には合っているように思う。
共演者のプレイはさすがで、思わずボーカルが邪魔だと感じてしまうほど(失礼)。
 GDに推すほどの作品ではないが、かといって貶すほど悪い内容でもない。可も
なく不可もなく、というのがこの作品に対する感想である。

評点:★★★☆(三つ星半)

増間 伸一
Masuma's WebSite増間 伸一さん)


「気品漂うヴォーカル」

 豪華メンバーをバックに、ことさら力むことなく美しい歌声を聴かせて
くれる静かなムードのアルバムに仕上がっています。
これ見よがしのテクニックやフェイクとは無縁の自然な歌声です。
だからジャジーな曲よりもポップス寄りの方が合っているように思います。
そういった意味で9曲目の「イフ」、11曲目の「ケース・オブ・ユー」など
が印象に残りました。反面全体を通して今ひとつインパクトに欠けるのも
否定できません。コテコテ好きな私にとっては清潔であっさりした感じが
物足りないのです。歌詞を大事に歌っている様子は伝わってきますから
もう少しアクの強い曲にも挑戦して欲しいと思います。

評点:★★★☆(三つ星半)

STEP 片桐俊英


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  制作者:片桐俊英  メールはste p@awa.or.jpまでお願いします
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